山形由美 オフィシャルサイト

本当の春がやってきました！
東京では桜が開花し、こちら那須ではつぼみを付け始めています。
春の3連休、皆さまはいかがお過ごしになりましたか？

「山形由美ふるさとコンサート in那須 フルートでお贈りする日本の歌・世界の歌」と題したコンサートを那須町文化会館で開いたのは春分の日のこと。休日のご家族連れのお客様が多いコンサートということもあり、「歌」をテーマにプログラムを組んでみました。フルートは息を楽器に通し音を作る楽器なので、実は歌ととても共通点があるのです。美しい歌のメロディを奏でるときには、まるで自分が歌っているような気持ちがするほどです。春にちなんだ「さくら変奏曲」、「花」。オペラのアリアで綴った「カルメン幻想曲」やミュージカルナンバーの「サウンド･オブ･ミュージック」、「オペラ座の怪人」などの名曲の数々を演奏しましたが、皆さんもくつろぎながら楽しんでくださったようでした。

今回共演してくださったのは20年のお付き合いになる、ピアニストの芦川真理子さんでした。私がデビューしてほどなく、まだ彼女が藝大の学生だった頃から、全国ツアーに参加していただくようになった真理子さんですが、その後年間100回ほどのツアーを、強いプロ意識でこなし、めきめきと腕を上げられました。ドイツに留学され、ヨーロッパを中心に活動を開始されてからも時折帰国するたび出演していただいたり、アメリカでの演奏に来ていただいたり…。

ここ数年は共演の機会がなかったのですが、今回はこのコンサートのためだけにドイツから駆けつけて、熱演を繰り広げてくださいました。彼女と一緒に演奏していると、お互いの変遷をすっかり熟知しているだけに、とても懐かしい思いがし、また表現の幅を広げようと努力していることを感じ合うことができます。音楽上のみならず、私がヨーロッパに出かけたときは必ず彼女の家に立ち寄ったり別の国で待ち合わせて休日を楽しんだりと、たくさんの思い出もあります。

バルセロナで道を尋ねた警官に、有無を言わせずパトカーに乗せられたときは、一瞬恐怖に引きつりましたが、凄まじい運転であっという間に目的地のミロ美術館に着き、呆然とパトカーを見送ったこと。ウィーンの王宮に近いダンス学校でウィンナワルツを習った時、ふたりとも目がグルグルとまわってしまったこと…。そのほかベルギーやイタリアでもかなりの珍道中がありましたが、それだけに記憶に強く刻まれています。 今回は那須の旅館で温泉に浸かり、時差や演奏後の疲れもすっきりと取れた様子で帰路に着かれました。また共演するとき、ふたりとももっと成長できていたらいいな、と心から思った春の日でした。