山形由美 オフィシャルサイト

「一年でいちばん好きな月はいつ？」と聞かれたら、
「絶対に五月！」と答えるでしょう。
なぜなら、空が澄んで、日差しが明るくて、風が爽やかで、心が清々しくなるから。
五月は誕生月でもあるのですが、また年を重ねることで、
新たな気持になれることも好きな理由のひとつかもしれません。
この五月、心に残ったこと、うれしかったことを思い出してみたいと思います。

★お寺でのコンサート 「曼陀羅ライブ」
小金井にあるお寺・金蔵院で、ご住職の孤島由昌さんの声明と
初めてコラボレーションさせていただきました。
お堂の床にお座りになったお客さまとの距離も近く、
いつもとは全く異なる世界での演奏です。
今回のために、那須在住のステンシル作家、ホークスみよしさんが染色、
型染めを施し、素晴らしい衣装を制作してくださったのですが、
桜やクチナシで染めたという黄金色の絹地に包まれて演奏していると、
お堂の荘厳な雰囲気も相まって、何ともいえない不思議な気持に満たされました。

★「世界にひとつだけの花」と「大きな古時計」
茨城の小さな町で開かれたコンサートのアンコールにこの二曲を取り上げたのですが、
たくさんの小学生から大人の人たちが、大きな声で一緒に歌ってくれました。
その町の名は山方町。字は違いますが、私の名字と同じ読み方なのです。
この秋には合併により、この町の名は消えてしまうとか。
残念な気もしますが、最後の大きな行事に参加させていただいて光栄でした。

★誕生日を期に、本格的にウォーキングを開始
リゾート暮らしは車社会。意識しないと意外と運動不足になりがちです。
長い冬を終え、こんないい季節にじっとしていてはもったいないという気持と、
少しでも若く健康で暮らしていきたいという気持が高まって、一心発起したのですが、
毎朝早起きをして歩く気持ちよさは、想像以上でした。
今では家に帰るのが惜しいほど長時間歩き続けていますが、飽きることがありません。
ウグイスやホトトギス、カッコウの声が伴奏です。

★懐かしい本に再会！
大学時代に買って以来、どれほど参考にしたか分からないほど気に入っていたお菓子の本が、ひっそりと小さな本屋さんの書棚にあるのを見つけたときは、思わず叫んでしまいました。
おおげさでなく、ものすごく会いたかった人とバッタリ再会した様な気分だったのです。
マドモアゼルいくこさんという方が書いた「秘密のケーキづくり」は、作り方もやさしく、文章も楽しく、イラストがとてもキュート。
イギリスで暮らしていたときも、毎日のようにそのレシピでお菓子を焼いたものです。
それが帰国するときに紛れてなくなってしまったのです。
帰国後、本屋さんでも探しましたが絶版になっていたらしく、
どうしても見つけることができませんでした。
そして時折、そのことを思い出すと、決まって残念な気持になったものです。
その本に思いがけず出会ったのです！それも那須の本屋さんで。
「これも作ったなあ。これも...」などとページをめくっていると、当時の自分に戻っていくようでした。
表紙の帯を見ると「待望の書、ついに復刊」とあります。きっと私のようなファンがたくさんいたに違いありません。
イギリスで、木から落ちていたリンゴを使って焼いたお菓子を、
今度は那須のリンゴで作りましょうか。

大好きな五月は今日で終わり。
先ほど車を走らせていると突然大粒の雨と共に雷が鳴り出し、
梅雨入りが近づいたことを感じました。
本当に良い季節は、短いからこそ、より大切に思えるのかもしれませんね。
来年の五月も清々しい気持で迎えられれば、と願っています。