From Yumi
No.05 言葉の持つおもしろさ
女性軍キャプテン 「あじさい」
山形由美 「梅雨っ!」
司会者 「ピンポン、ピンポン。正解です。女性軍に10点!」
今を遡ること約13年前、惜しくも長い歴史を閉じたNHKの人気番組、「連想ゲーム」のひとこまです。
当時デビュー間もないフルーティストだった私は、微妙で繊細な音の世界でどう表現したらよいかと日々模索し、演奏生活を送っていました。
そこに現れたのがまさに言葉の遊び、つまり「連想ゲーム」でした。
レギュラー解答者としてひとつの言葉をヒントに、次々と言葉を連想し、ピタッとはまったときのうれしさ。季節の言葉のもつ美しさ。そして人によって全く異なる言葉を連想していくおもしろさなどが、シンプルなルールのゲームによって浮き彫りにされていきました。
それまではいわば言葉を介在しない楽器と向き合う生活を送っていた私にとって、この番組に出演した3年間は、今思い返しても得難い時代だったのだと思えるのです。
男性チームと、女性チームの対戦ということもあって、ほどよい緊張感が一層楽しさを増してくれました。そして回を重ねるごとに、勘が冴えていくことにも驚きました。
これには少しばかり秘訣があったことをお教えしましょう。
ある時、女性軍のキャプテン、藤田弓子さんとテレパシーの話をしたことがありました。
人間には、潜在的にそういった能力が誰にでもあるのではないかという話です。盛り上がった私達は、番組中でそれを試してみようということになったのです。
スタジオでは私から見て斜め右側に藤田さんが座るという配置になっていました。
上半身は正面に、そしてテーブルで見えない下半身だけをぐっとお互いの方にねじって、丹田というエネルギーが貯まるというお腹のポイントを向かい合わせることにしたのです。
そして、ヒントを出す藤田さんに、強く正解の言葉の持つイメージを私に送ってもらうように頼みました。
それからです。一回目のヒントでフッと言葉が浮かび、なんの気なしに答えてみるとずばっと当ててしまうというようなことが続出したのです。そしてついに全問自分が正解してしまったときには、番組終了後大騒ぎになり、私や藤田さんはもちろんのこと、スタッフの方達も寒気がした、というようなことすらありました。
偶然のことかもしれませんが、目に見えない力のようなものを感じたのは確かです。
このように、コンサートの合間にNHKに通った3年間は、私に様々なことをもたらしてくれました。
まず第一に、言葉のおもしろさ、興味を教えてくれていたことには強く感謝しています。このことは数年前初めて本を書き下ろしたときに痛感しました。また、狭い音楽の世界にいた私を別の世界に連れ出し、ジャンルの異なる人たちとの出会いをもたらしてくれたこと。そして未だに「連想ゲームに出ていた山形由美さん」のコンサートに足を運んでくださる全国津々浦々の皆さんに、今度は生のフルートを聴いていただくことへの喜び・・・。
数えればきりがないほどの財産を残してくれました。 最近、うれしいことにNHK-BS2でしばしば当時の番組が再放送されています。
10年以上経た今、改めて見ても、古さが感じられないことが言葉の持つ普遍性の証明ではないかと感じています。
ぜひ皆さんも次回の放送をご覧になってくださいね。
山形由美 「梅雨っ!」
司会者 「ピンポン、ピンポン。正解です。女性軍に10点!」
今を遡ること約13年前、惜しくも長い歴史を閉じたNHKの人気番組、「連想ゲーム」のひとこまです。
当時デビュー間もないフルーティストだった私は、微妙で繊細な音の世界でどう表現したらよいかと日々模索し、演奏生活を送っていました。
そこに現れたのがまさに言葉の遊び、つまり「連想ゲーム」でした。
レギュラー解答者としてひとつの言葉をヒントに、次々と言葉を連想し、ピタッとはまったときのうれしさ。季節の言葉のもつ美しさ。そして人によって全く異なる言葉を連想していくおもしろさなどが、シンプルなルールのゲームによって浮き彫りにされていきました。
それまではいわば言葉を介在しない楽器と向き合う生活を送っていた私にとって、この番組に出演した3年間は、今思い返しても得難い時代だったのだと思えるのです。
男性チームと、女性チームの対戦ということもあって、ほどよい緊張感が一層楽しさを増してくれました。そして回を重ねるごとに、勘が冴えていくことにも驚きました。
これには少しばかり秘訣があったことをお教えしましょう。
ある時、女性軍のキャプテン、藤田弓子さんとテレパシーの話をしたことがありました。
人間には、潜在的にそういった能力が誰にでもあるのではないかという話です。盛り上がった私達は、番組中でそれを試してみようということになったのです。
スタジオでは私から見て斜め右側に藤田さんが座るという配置になっていました。
上半身は正面に、そしてテーブルで見えない下半身だけをぐっとお互いの方にねじって、丹田というエネルギーが貯まるというお腹のポイントを向かい合わせることにしたのです。
そして、ヒントを出す藤田さんに、強く正解の言葉の持つイメージを私に送ってもらうように頼みました。
それからです。一回目のヒントでフッと言葉が浮かび、なんの気なしに答えてみるとずばっと当ててしまうというようなことが続出したのです。そしてついに全問自分が正解してしまったときには、番組終了後大騒ぎになり、私や藤田さんはもちろんのこと、スタッフの方達も寒気がした、というようなことすらありました。
偶然のことかもしれませんが、目に見えない力のようなものを感じたのは確かです。
このように、コンサートの合間にNHKに通った3年間は、私に様々なことをもたらしてくれました。
まず第一に、言葉のおもしろさ、興味を教えてくれていたことには強く感謝しています。このことは数年前初めて本を書き下ろしたときに痛感しました。また、狭い音楽の世界にいた私を別の世界に連れ出し、ジャンルの異なる人たちとの出会いをもたらしてくれたこと。そして未だに「連想ゲームに出ていた山形由美さん」のコンサートに足を運んでくださる全国津々浦々の皆さんに、今度は生のフルートを聴いていただくことへの喜び・・・。
数えればきりがないほどの財産を残してくれました。 最近、うれしいことにNHK-BS2でしばしば当時の番組が再放送されています。
10年以上経た今、改めて見ても、古さが感じられないことが言葉の持つ普遍性の証明ではないかと感じています。
ぜひ皆さんも次回の放送をご覧になってくださいね。
2003年6月28日
山形由美
山形由美
※次回の放送は 8月3日21時20分から予定されています。