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フロムユミNo.100に寄せて 〜30周年を迎えての思い〜

皆さま、こんにちは!気がつくと、フロムユミのページからはすっかりご無沙汰してしまっておりました。今年はデビュー30周年を迎え、何かと気ぜわしく過ごしているうちに、前回の更新から1年以上も経っており…。よくよく見ますと、なんと前回は99回目だったのですね。そこで、100回目の記念に、30周年にかける思いを綴ってみたいと思います。

30周年のメインとなる活動は、秋に控える記念CDのリリースとリサイタルツアーです。まず、CDの方からお伝えいたしましょう。デビュー20周年に初めてセルフプロデュースCDをリリースしたのですが、そのときは本当に大変でした。何しろ演奏する以外は未経験のことばかりでしたから。でも、無から始まって、行程のすべてに自分の考えや感性を注ぎ込み、形あるCDというものが出来上がったときの喜びと充実感は、それまでになかったほど大きなものでした。以来その面白さに目覚めた私は、25周年記念として第2弾となる「Anthology 〜愛のアンソロジー」を制作しましたが、驚くほどスムーズに進めることができました。1回目の経験が役立っていたのだと思います。そして今回は30周年という大きな節目を迎え、今までの上に、さらにまた新しい世界を築いていきたいという思いで、録音しました。

今回のテーマはバレエや踊りです。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、私は小さなときからクラシックバレエを習っていました。小学校時代にはバレエに明け暮れていて、週3〜4回のレッスンには休むことなく通い、それこそ雨の日も雪の日も通い、ストなどで電車が止まっても、歩いてでも行くといって、親を困らせるほどでした。大きな舞台も踏みましたし、ロシアのレニングラードバレエ団の来日公演に出演したこともあります。それが、中学になり背が高くなってきたのを機に、バレリーナの道を諦め、ほどなくしてフルートに出会ったわけです。音大に進むことを決心して、一度はすっかりバレエから足を洗ったのですが、やはりどこかに空虚な気持ちが湧いてきたのは否定できませんでした。ですので、今度は健康のためにと、週1〜2回程度のレッスンを受け始め、結局20歳頃まで続けていたのです。やはりバレエが心底好きだったからでしょう。
私がどうしてバレエが好きなのかと考えますと、やはり音楽が常に一緒にあるからなのかもしれません。子供のときに習っていた橘バレエ学校の公演では、プロのオーケストラに合わせて躍らせていただいていました。本番の出番の前、緞帳の向こうのオーケストラピットから聴こえてくるオーボエのチューニングの音、それに続いて他の楽器の音が響いてくると、ドキドキわくわくしたものです。そして、チャイコフスキーの作品などでは、美しく、軽やかに、フルートやピッコロが大活躍していました。オーケストラの響きに包まれ踊ったことは、なにものにも変えがたい豊かな経験になったと思いますし、リズムや美しい旋律に合わせて体全体で表現するバレエは私の中にしっかりと根付いているのだと感じます。


今では踊ることからは離れてしまったのですが、いつか実現してみたい、ある夢をずっと持ち続けていました。それはフルートとバレエのコラボレーションです。私のフルートに合わせて、バレエを踊っていただけたらどんなに素敵なことだろう、と心の中で思い描いていたのです。 それがなんと、昨年実現しました!ロシアが誇るイリーナ・ペレンさん、マラト・シュミウノフさんという素晴らしいカップルの十八番が、グルックの「精霊の踊り」で踊る、ペアダンスだったのです。日本公演の際、私に吹いてほしいと依頼があったときには、二つ返事でOKさせていただき、渋谷のさくらホール、そして大阪のロシア連邦総領事館でコラボさせていただきました。男性舞踊手のマラトさんが、プリマのイリーナさんを高々と上げて真っ暗な舞台から登場されるのですが、羽衣のような衣装をまとっているイリーナさんは、天から舞い降りたように見えました。本番でフルートを吹きながら、この世のものとも思えない幻想的なシーンに酔いしれてしまいました。そして、2回の公演が終わったとき、改めてバレエというものの素晴らしさを感じましたし、それにいかに私が魅了されているかを確認しました。 バレエや踊りとフルートは、まさに私にとっての2本の柱であり、宝なのだなと改めて感じ、30周年を機に、このふたつの宝を合体させたようなCDが作れないかと思ったのです。
選曲の作業も楽しいものでした。グルックの「精霊の踊り」はもちろんのこと、私が最も好きで憧れのバレエ作品である「ジゼル」も取り上げました。映像で何回も見て、とりわけ好きな2幕のシーンをメインに、加藤昌典さんに編曲をお願いしました。妖精となったジゼルが恋人と再会し、ともに踊り、別れていくという、胸が締め付けられるようなシーンです。
また、フランスの太陽王、ルイ14世に仕えた芸術家、リュリの作品も入っています。バレエダンサーとして、そして作曲家として稀有な活躍をしたリュリですが、「アルミード」という作品の中から「パッサカイユ」という曲を選びました。バレエ以外の曲としては、スペイン、ルーマニアの民族色豊かな舞曲や、ワルツ、ロンドといった典型的な踊りのリズムや形式を持った曲も取り上げています。 前回のCDにも作曲家の加藤昌典さんの編曲が多く収録されていますが、今回はアダンのジゼルとリュリのパッサカイユの編曲以外に、このCDのために書き下ろしていただいた作品があります。「フルートとピアノのためのカプリス 〜笛の旅〜」というタイトルなのですが、日本の笛、お祭りや踊りなどをテーマにして書いてほしいとお願いしたものです。とてもおもしろい仕上がりとなっていますので、ご期待いただきたいです。

共演していただいたのは、ピアニストの菅野潤さんです。パリを拠点に国際的に活躍されている、正統派ピアニストでいらっしゃいます。音色が美しく、品格ある演奏をなさる方で、30周年記念リサイタルツアーでもご一緒いただきます。
CDではもうおひとり、チェロの金子鈴太郎さんには2曲参加していただきました。踊りといえば忘れられないのがタンゴ。ライブで共演いただく際、しばしば演奏している、ピアソラ作曲「タンゴの歴史」から1930カフェを録音しました。原曲ではギターで弾くところをチェロに変えているのですが、金子さんのオリジナルバージョンで、とてもユニークなものです。この曲をフルート、チェロで録音したものは、おそらくこれが初めてではないかと思います。

9月22日に、そのCD「Eternally ~永遠のジゼル」がリリースされます。そして同日、レコーディングの会場となった戸塚区民文化センターさくらプラザ(神奈川県)で、発売記念リサイタルが行われます。菅野さんとは、戸塚を皮切りに札幌や旭川、福岡でご一緒いただき、そのあとは11月9日のパリ公演(日本文化会館)、そしてファイナルが11月25日の浜離宮朝日ホールになります。

この夏は、9月から始まる各活動の準備に励みたいと思っています。 各地で梅雨があけ、暑い日が続くことと思いますが、どうぞ皆さまお元気にお過ごしください。そして秋が訪れ、どちらかの会場でお目にかかれますのを楽しみにしております。


2016年8月1日
山形由美


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