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No.70 2008年銀幕の旅

去る19日、信州に行ってまいりました。
長野駅からの道すがら、赤く実をつけたりんごの木が、豊かな秋を感じさせてくれます。映画音楽ガラコンサート「銀幕の旅」に出演するため須坂市文化会館メセナホールに向かうメンバーは、サクソフォーンの須川展也さん、ギターの鈴木大介さん、作曲家でピアニストの加藤昌則さんと私の4人。このコンサートは約2年前から各地で行われてきていますが、私自身、素晴らしいアーティストの皆さんと、大好きな映画音楽の数々を思い切り演奏できるので、毎回とても楽しみなのです。

映画といえば、どなたにもたくさんの思い出があることでしょう。スクリーンに映し出された世界にどっぷりと浸り、まるで自分が主人公になったような気分でハラハラしたりドキドキしたり。夢のようなロマンティックな世界に、映画館を出てからもしばし現実に戻れなかったり…。何年経ってもスクリーンミュージックを耳にすると、すぐにその世界に戻ってしまうから不思議です。そんな素敵な音楽を、それぞれのアーティストがソロで、またアンサンブルでとお送りするこのコンサートは、とてもご好評をいただいているプログラムです。


私が一番好きな映画をひとつだけ挙げるとすれば、「ロミオとジュリエット」を選ぶでしょう。それは中学に入ったばかりの頃のことでした。吉祥寺の映画館に同級生と行き、オリビア・ハッセイとレナード・ホワイティングの美しさと若々しさとに魅せられ、その余りに切ないエンディングに涙しながら席を立つことができず、結局そのまま3回も続けて観てしまったのです。このコンサートでは、加藤さんのピアノソロで、彼自身の鮮やかなアレンジによってニーノ・ロータの名曲が奏されました。袖で聴いていた私には一気に中学の時の感動が溢れてきて、胸の詰まるような気持ちになりました。

そしてもうひとつその頃に観た思い出の映画といえば「小さな恋のメロディ」。イギリスを舞台に、恋に落ちたかわいいカップルが織り成す物語を彩っていたのはビージーズのナンバー。今はマークシティとなり、当時の面影は全くなくなってしまった渋谷駅の井の頭線改札口のそばにあった映画館で見たときの事を、鮮やかに思い出します。須川さんのサックスによって爽やかに演奏された挿入曲「若葉のころ」を聴いていると、トロッコに乗って野原の彼方に向かって行ってしまったマーク・レスターとトレーシー・ハイドの姿が目に浮かんできました。これは私を洋楽の魅力に誘ってくれた映画ともいえる作品なのです。 私が取り上げたのは「ディア・ハンター」から「カヴァティーナ」。ベトナム戦争がもたらした悲劇とは対照的な余りに美しいメロディを、鈴木さんの繊細な繊細なギターの音色に乗せフルートを奏でていると、演奏をしながらも心が震える思いがしてしまうのでした。

コンサートのメインは、「マンシーニ・メドレー」。ヘンリー・マンシーニが映画音楽の世界でどれほど偉大な存在であるかは、並んだ曲のタイトルを眺めるだけで分かります。ピンク・パンサー、シャレード、刑事コロンボ、ムーン・リヴァー、小象の行進など、枚挙に暇がありません。すごいのは作った曲の数だけではなくそれぞれが全く異なる作風を持っていること。このメドレーは、曲のおもしろさに加え、加藤さんによる優れた編曲の妙と、回を重ねるたびによりまとまりを見せてきたアンサンブルによって、お客様もとても楽しんでくださったようです。大きな拍手と共に、2時間に渡るガラコンサート「銀幕の旅」の幕は閉じました。

最近ではDVDも手軽に手に入るようになり、インターネットでも配信されるなど、たくさんの映画がいながらにして楽しめるようになりました。懐かしい名画を見ながら、更けゆく秋の夜長を楽しまれてはいかがでしょうか。
2008年10月31日
山形由美
 
※次回の「銀幕の旅」は12月21日(日)栃木市文化会館で開かれます。
 (残念ながら、チケットは初夏にSold outしてしまったそうです。ごめんなさい!)来年も各地で開催される予定です!
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