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No.37 さよなら、「日曜ラジオマガジン」

色彩と音の洪水のような渋谷の町を、
人ごみをかきわけるようにして進む。
春の訪れとともに、誰しもが心を湧き立たせているのだろう。
若者たちのエネルギーがびんびんと一層強く感じられる。
日曜の午後、NHK放送センターに向け、
こうして渋谷を抜けるのも最後かと思うと、
なんだか寂しい。

去る3月5日、NHK「日曜ラジオマガジン」の
最終出演の日を迎えました。
4年間に渡り出演させていただいていたのですが、
春の番組再編のため、ついに10年の放送を終えることになったのです。
この番組は生放送で、
様々な文化や芸術などの話題を自由な雰囲気でお届けしてきましたが、
私のほかに、画家や作家、映画監督など、様々なジャンルの専門家の方たちが
交代でコメンテーターとして出演し、専門家としての意見や、ゲストたちとのトークなどをとおして、
日本でいまどんな文化的なムーブメントが起こっているかを、独特の視点から捉えてきました。
番組冒頭では、「こだわり見聞録」というコーナーでコメンテーターがいま感じていること、経験したことなどを
自由にお話することができましたが、私もこのコーナーのために、
日ごろつい見過ごしてしまいそうなことや、ちょっとした変化などに心を留めて、
自分の中に蓄えておくような習慣ができました。
音楽のみならず、様々なことに興味を持つことによって、
私自身生き生きとした毎日を過ごすことにもつながったように思います。
そしてなにより素晴らしかったのは、
番組によってたくさんのゲストの方々とお話する機会にも恵まれたことでしょう。
世界の民族音楽を発掘しては日本にも紹介している巻上公一さんには、
いま私たちが接している音楽はいかに一部に過ぎないか、
また知らない音楽が世界にどれほどたくさんあるのかを教えていただきました。
民謡歌手の安曇野めぐ留さんには、
度肝を抜くような新しい解釈と歌唱法による素敵な民謡と
若さ溢れるオリジナルナンバーの魅力をお伝えいただきました。
芸大の同門の先輩である、フルーティストの赤木りえさんとは、
スタジオでセッションし、クラシックとラテンという違うジャンルに進んだ私たちの
違いを見付けようと試みましたが、
やはりとても共通するものが多いという結果に驚いたりもしました。
そのほか、数えればきりがないほど、素敵なゲストの方々からたくさんのことをお伝えいただきました。
また、お相手をしてくださった、玉谷・青木・金井・関口各アナウンサーの皆さんからは、
プロの話し手としての姿勢を存分に見せていただきました。

たくさんの出会いをありがとうございました。
さよなら、「日曜ラジオマガジン」!
2006年4月1日
山形由美
 
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