山形由美 オフィシャルサイト

長かった梅雨も明けました。
学校も夏休みに入ったせいか、那須も賑わいを見せてきました。
青い夏の空、濃い木々の緑、そしてのびのびとした表情の人たちを眺めていると、
私もすっかりくつろいだ気持ちになります。

7月は、とても密度の濃い月でした。そして国際色の強い月でもありました。
まず、短い期間に続けてスロヴァキア、ドイツ、
そしてチェコのオーケストラと共演させていただいたこと。
それぞれに古い歴史を背景に豊かな響きを持つオーケストラばかりでしたが、
メンバーの皆さんが実に真摯な姿勢で、まっすぐに音楽に向かう様子に
心が洗われる思いがしました。
そしてたとえ言葉が完全に伝わらなくても、
音楽で会話を交わすことの素敵さを改めて感じました。

そして、もうひとつ思いがけないことがありました。
西オーストラリア州から来日なさっていた首相から、
「ワイン親善大使」の任命を受けたのです。
いまやワインの名産地として名高いオーストラリアですが、特にパースを中心とした西オーストラリア州は、
非常に質の高いワインを生み出している土地として知られるようになってきました。
数年前に、ワイン好きの友人から勧められて、マーガレットリヴァー産のワインを試し、
その深い味わいと香りを味わって以来、西オーストラリアワインに興味を持っていた私が、
今回偶然にも親善大使のタイトルをいただくことになり、とても光栄に思いました。
都内の会場で、ギャロップ首相自ら、認定証と2001年のマグナムボトルの赤ワインを手渡してくださったとき、
「是非、西オーストラリア州に来て、地元のアーティストと共演をしてくださいね」とおっしゃってくださいました。
私にとってオーストラリアはいまだ訪れたことのない土地ですが、
こうして新しいご縁ができたことを、心からうれしく思います。
その地にたくさんあるというワイナリーには、恒例のコンサートが開かれるところや
おいしいお料理を出すレストランがあるところも多いと聞きます。
その中に、その名も「フルートカフェ」というところがあるとか。
フルートを奏でる少年の像が池の畔に立つ、なんとも素敵な風情の写真を見ていると、
早く訪ねてみたいという気持ちでいっぱいになってしまいました。

音楽もワインも、言葉や国境を越えて幸せな気持ちを共有できる存在です。
その架け橋のほんの一端にでも関わることのできる自分を、幸せものだと思わずにはいられませんでした。