山形由美 オフィシャルサイト

先日、とても楽しいテレビ番組に出演しました。
ワインをテーマに、招かれたゲストがホストと共に語り合うという番組です。 そこで、とっても懐かしいおふたりの方とお会いしました。おひとりはその番組の企画、ホストを務められている俳優の辰巳琢郎さん。そしてもうおひとりは、私とともにゲスト出演なさった写真家の浅井愼平さんです。どちらも私が20代の終わりから30代のはじめにかけて頻繁にお会いする機会がありましたが、最近ではすっかりご無沙汰してしまっていた方たちなのでした。

辰巳さんは、NHKの「連想ゲーム」でお向かいの席に座り、毎回熱い対戦を繰り広げていた相手であり、浅井さんとはほぼ時を同じくして、赤組キャプテンの藤田弓子さんから誘っていただき出席するようになった句会でご一緒させていただいていました。 思えばそれから随分と時が経ちましたが、こうしてうれしい機会を得て「辰巳琢郎のワイン番組」で杯を交わすことになったのでした。

番組ではまず12種類の、国も葡萄の品種も違うワインをテイスティングして、今自分が飲みたいワインと、自分のイメージに合うと思われるワインを選びます。そして、お料理をいただきながら、トークをするという趣向で番組が進められます。

月に1回のワインクラスでもテイスティングをしていますが、多くて6種類といったところでしょうか。その倍にあたる種類のワインを試して、気に入った2種を選び出すには、感性とともに集中力も必要とするようです。結局12種類を2往復して私が選び出したのは、イギリス時代が懐かしく思い出された風味の豊かなシェリーと、よい音楽に通じる余韻を重視して選んだ赤ワイン。浅井さんはオーストリアの白とオーストラリアのロゼを選ばれ、素敵なセレクションを私も楽しませていただきました。 ワインをご説明くださったソムリエールの濱田知佐さんの柔らかな語り口、若林三弥子さんがその場で作って下さった、それぞれのワインにマッチした見事なお料理の数々が、味わったワインととともに記憶に刻まれました。

当時、「連想ゲーム」の打ち上げや、句会の流れで辰巳さんや浅井さんとそれぞれお酒をいただく機会はありましたが、いつもおおぜいの人たちと賑やかな中で楽しんだお酒でした。今回長い時を経て、昔話や近況を語り合いながらじっくり味わったワインは、どれもとても繊細な味わいがしました。ワインは、時間によって熟成されるもの。人間的に熟成を重ねておられるおふたりの素敵な男性とともに過ごしたひとときは、私に深い余韻を残してくれたのでした。