From Yumi
No.33 みやびな京の午後
例年より暖かかった今年の秋。
そのためか、各地では紅葉前線がゆっくりと動いていったようです。
私の住む那須でも見事な紅葉が、思いのほか長く楽しめました。
それでもそろそろ落ち葉が多くなり、なんとなく心寂しくなってきた頃、
京都・嵯峨野に出かけてまいりました。
11月も終わるというのに、まさに見頃を迎えた嵯峨野の紅葉は、
秋の日差しに一層冴え渡っていました。
そんな中、NHKハイビジョン番組
「京の紅葉中継 嵯峨野みやびに遊ぶ」が生中継されました。
中継は紅葉の名所として知られる小倉山の中腹にある大河内山荘と、
嵐山と小倉山に挟まれた大堰川からの、二箇所から送られます。
私は、美しい大堰川に浮かべた屋形船の上からの中継班に加わりました。
紅葉の下を歩いたり、遠くから眺めることはあっても、
川の上から愛でるということはめったにないこと。
船頭さんの見事な棹さばきによって、見所を加減しながら進んでいく中、
水面に映る赤や黄色の色彩や、はらはらと落ちてくるもみじを味わいながら、優雅な時間を楽しみました。
そして、かなり上流に近づき川辺に上がった私は、紅葉の鮮やかな色彩に包まれ、フルートを演奏しました。
平安の頃から貴族たちのみやびな世界の舞台となった嵯峨野、
そして刻々と変化を見せる紅葉の美しさにイメージを得て選んだのが、
フランスの宮廷で活躍したマラン・マレの作曲した変奏曲「ラ・フォリア」です。
川面から運ばれてくる風に吹かれつつ、優雅な時代に思いを馳せながら、
主題といくつかのヴァリエーションを演奏しました。
見上げる小倉山は、藤原定家が百人一首を編んだ場所として知られています。
出演者が選んだいくつかの歌に合わせて、
京菓子の名店、末富のご主人、山口富蔵さんが和菓子を作ってくださいました。
私がお願いしたのは「白露に 風の吹きしく秋の野は つらぬき止めぬ 玉ぞ散りける」
という歌をイメージしたお菓子。
薄緑のお菓子の上に小さく透明なゼリー状のものがあしらわれています。
秋の原の草に宿った露。風に吹かれて散ると、まるで真珠や水晶のよう…。
その風景を彷彿とさせるような、それは美しいお菓子でした。
日本の文化は、いろいろなものをつないでいって味わうものだというお話が番組の中で語られました。
景色・季節の風物・和歌・お菓子・音楽…。
時間に追われ、日ごろなかなか感じることのできない豊かさを、じっくりと味わい、
みやびで幸せな秋の午後を過ごすことができました。
そのためか、各地では紅葉前線がゆっくりと動いていったようです。
私の住む那須でも見事な紅葉が、思いのほか長く楽しめました。
それでもそろそろ落ち葉が多くなり、なんとなく心寂しくなってきた頃、
京都・嵯峨野に出かけてまいりました。
11月も終わるというのに、まさに見頃を迎えた嵯峨野の紅葉は、
秋の日差しに一層冴え渡っていました。
そんな中、NHKハイビジョン番組
「京の紅葉中継 嵯峨野みやびに遊ぶ」が生中継されました。
中継は紅葉の名所として知られる小倉山の中腹にある大河内山荘と、
嵐山と小倉山に挟まれた大堰川からの、二箇所から送られます。
私は、美しい大堰川に浮かべた屋形船の上からの中継班に加わりました。
紅葉の下を歩いたり、遠くから眺めることはあっても、
川の上から愛でるということはめったにないこと。
船頭さんの見事な棹さばきによって、見所を加減しながら進んでいく中、
水面に映る赤や黄色の色彩や、はらはらと落ちてくるもみじを味わいながら、優雅な時間を楽しみました。
そして、かなり上流に近づき川辺に上がった私は、紅葉の鮮やかな色彩に包まれ、フルートを演奏しました。
平安の頃から貴族たちのみやびな世界の舞台となった嵯峨野、
そして刻々と変化を見せる紅葉の美しさにイメージを得て選んだのが、
フランスの宮廷で活躍したマラン・マレの作曲した変奏曲「ラ・フォリア」です。
川面から運ばれてくる風に吹かれつつ、優雅な時代に思いを馳せながら、
主題といくつかのヴァリエーションを演奏しました。
見上げる小倉山は、藤原定家が百人一首を編んだ場所として知られています。
出演者が選んだいくつかの歌に合わせて、
京菓子の名店、末富のご主人、山口富蔵さんが和菓子を作ってくださいました。
私がお願いしたのは「白露に 風の吹きしく秋の野は つらぬき止めぬ 玉ぞ散りける」
という歌をイメージしたお菓子。
薄緑のお菓子の上に小さく透明なゼリー状のものがあしらわれています。
秋の原の草に宿った露。風に吹かれて散ると、まるで真珠や水晶のよう…。
その風景を彷彿とさせるような、それは美しいお菓子でした。
日本の文化は、いろいろなものをつないでいって味わうものだというお話が番組の中で語られました。
景色・季節の風物・和歌・お菓子・音楽…。
時間に追われ、日ごろなかなか感じることのできない豊かさを、じっくりと味わい、
みやびで幸せな秋の午後を過ごすことができました。
2005年11月28日
山形由美
山形由美