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No.20 ミュージックキャンプ 報告記

去る9月23日から4日間に渡って開かれたミュージックキャンプに、
初めて講師として参加してきました。
秩父ミューズパークの森の中に点在するコテージやホールでは、国内外の11人の講師陣が個人レッスンや公開レッスンをおこない、約130人の受講生の奏でるフルートの音があちらこちらで鳴り響いていました。

私は4人ずつの3クラスを受け持ち、のべ20時間に及ぶレッスンをおこないましたが、実はフルートを指導するのは15年ぶりのこと。デビュー後、演奏に次ぐ演奏に、それまでおこなっていた指導がままならなくなって以来、生徒を持つことがなかったからなのです。今回受け持った12人を指導する中で、私自身貴重な経験をすることができました。
受講生の皆さんの熱心なこと!とにかくフルート大好きな人たちばかりなのです。
中3の女の子から定年退職をなさったご年輩の方まで、実に真剣に指導を受けてくれました。
最終日におこなったクラス発表会では、それぞれにレッスンの成果を発揮して演奏してくれましたが、それを聴きながら、私は自分で演奏するのとは全く違う達成感に包まれました。

今回もうひとつうれしかったのは、海外からみえた3人の素晴らしいフルーティスト達にお会いしたことです。フランスのクリスチャン・ラルデさんとは初対面でしたが、なんと私がフルートを始めて、初めて行ったフルートの演奏会が、ラルデさんの演奏会だったのです。その時アンコールで演奏された、グルックの「精霊の踊り」に、心から感動した時のことは今でもはっきりと残っています。今から約30年前のことでしたが、お聞きすると初来日でいらしたとのこと。そのエレガントな音色は今も変わることなく、心に響いてきました。

またレッスンの後には、毎夜音楽堂で講師陣による演奏会が開かれましたが、初日に私が演奏した後には、ドイツの名伯楽パウル・マイゼンさんにお褒めの言葉をいただき、とても感激しました。10周年のリサイタルにもお越しくださっていたそうで、その時に演奏したシューベルトのアルペジオーネソナタの印象まで覚えていてくださり感想をお伝えくださいました。心からうれしく、また励みになりました。
そしてイギリスの講習会で同じクラスだった、フィンランドのペトリ・アランコさんともお会いすることができました。その時「この人は素晴らしいフルーティストになるに違いない」と思いましたが、本当に大成功を収めた今、20年の月日を感慨深く思い起こしました。

打ち上げパーティでは、ジャズフルートの井上信平さんがご自身のバンドで楽しいナンバーの数々を演奏なさいましたが、私と東京フィルハーモニーの吉岡アカリさんも飛び入りで参加。ボサノバを演奏し、大いに盛り上がりました。
文字どおりフルート漬けになった4日間を終え、「もっとフルート頑張るゾ !」という気持でいっぱいの、今日この頃です。
2004年9月29日
山形由美
 
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