山形由美 オフィシャルサイト

とうとう12月がやって来ました。
各地にいる懐かしい友人たちからクリスマスカードが届き始めました。
そしてそれらに混じって、いくつかの寂しいお知らせも届いています。

先日、吉田雅夫先生がお亡くなりになりました。
ご高齢でいらしたのでいずれはという思いもあったものの、いざ先生が天に召されたということを実感しますと、空虚な思いが致します。
吉田先生はいまの日本のフルート界を作られたかたといっても過言ではないでしょう。
フルートの神様と讃えられるマルセル・モイーズに師事され、フルートの神髄を私達フルートに関わる者たちにお伝えくださいました。
NHK教育TVで放送された「フルートとともに」の放送をとおしても、広く一般にフルートの魅力を広められました。
フルートを始めて間もないころの私も、画面を見つめた者のひとりです。
芸大時代、小泉剛先生のクラスだった私は、直接吉田教授に見ていただくことはありませんでしたが、卒業して演奏活動に入ってから、ぜひにとお願いしてレッスンをしていただきました。
いつも口元に笑みを浮かべ、情熱的に音楽、そしてフルートについて語り、音の一つひとつの意味を教えてくださいました。
また、おびただしい数の演奏会をこなしてこられた先生ならではの助言などをいただき、感謝に堪えません。
あいにく演奏会と重なり、告別式にお伺いすることはかないませんでしたが、せめてもと思い、演奏しながら先生に心の中でお別れを申し上げました。
いま日本でフルートに携わっている人たちは、大きな幹である吉田先生にどこかで枝葉のようにつながっているのではないでしょうか。私たちはその木を枯らすことなく、さらに豊かに繁るように努力していかなければ、と気持を新たにしています。

12月は去る年を惜しむ月であると同時に、イエス・キリストの誕生を祝う晴れやかな月でもあります。
街を彩るイルミネーションに、私の心にも明るく火が点ります。
そろそろツリーを飾りましょうか。
そして、誰もがステキなクリスマスを過ごすことができますようにと、願わずにはいられません。