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大震災から2ヶ月が経ちました

3月11日、那須の自室で原稿を書いていた私はかすかな揺れを感じました。足元のヒーターを消し様子を見ましたが、だんだん揺れが強くなってくるのを感じました。念のため隣のベッドルームに移動したころ、横に揺さぶられるような動きに変わってきたのです。するとそれは信じられないような激しさになってきました。立っているのもままならないのです。見上げると照明器具が今にも落ちるのではないかと思われるほど左右に激しく揺れています。

(このままだと大変なことになる、これはあり得ないほど大きな地震だ)と、そのとき初めて認識しました。急いで部屋のドアを開け階段の踊り場に飛び出し、手すりにつかまってどうにか激しい揺れに耐えようとしました。窓から外を見下ろすと、いつも心を和ませてくれる高原の木々たちの幹や枝が大きくしなっています。すると先ほどまで私が座っていたあたりで、大きな物音がしました。

続いて階下からも大きな物音が聞こえてきます。そちらにいる両親に大声を出して呼びかけましたが返事がなく、私は恐ろしい思いに捕われました。何かの下敷きになっているのではないか、じきに1階が潰れてしまうのではないか、と思ったのです。少し揺れが緩んだ瞬間にやっとの思いで階段をおり、何とかリビングダイニングルームへたどり着きました。父はテーブルに付いたまま呆然としています。飾り棚が父のすぐ手前の位置で倒れ、アンティークの食器類が目茶目茶に壊れて床に破片が散らばっていました。母は大きなカップボードを押さえながら必死に倒壊を防いでいましたが、ぎっしりと食器が入った重い家具が壁から何十センチも離れていました。

3人でソファーのところまで移動して揺れが過ぎるのを待ちましたが、幾度となくやってくる大きな余震に、恐怖心が収まりません。 そのとき、更にゾッとする気持ちを覚え、階段を駆け上がりました。先ほど聞いた、私の仕事部屋からの物音を思い出したのです。もしかしたら、楽器が潰されているかもしれない!! 私の目に入ってきたのは、おびただしい本や書類、オーディオ機器などが散乱した光景でした。そしていつも楽器を置いてあるあたりにはテレビが台ごと倒れているではありませんか。血の気が引いていくのが分かりました。しかし心を落ち着けてよく見てみると、フルートの入った鞄は、そこから僅かに外れたところにあり、難を逃れていました。

とにもかくにも3人とも怪我もなく無事であったことにも安堵した気持ちが徐々に湧いてきたのですが、それが吹き飛んだのは、テレビから伝わってきた東北の惨状を知った時でした。 なんということでしょう。信じられない思いに胸が塞がれ言葉もありません。東京から栃木に移り住んで10年。関東でも一番北に位置する那須からは、一山を越えると東北なのです。まさにすぐ近くの土地として親しみを覚えていました。コンサートで伺った市町村もたくさん被害に遭われています。なぜこんなことが…、と答えのない疑問を幾度となく投げかけてしまうのでした。 そしてそれに追い討ちをかけるように明らかになってきた原発の動向には、かつてない重苦しい気持ちに襲われました。

大地震、大津波の犠牲となられ、数々の被害に遭われた多くの方々、そして原発によって不安にさらされ家を後にされていらっしゃる方々、風評被害に遭っている土地は増すばかりです。当事者の方々の深いお苦しみを思うと、どのようなお慰めの言葉も見つからないのです。ただただ祈り、復興を願うことしか…。

ですから、私はやはりフルートに思いを託したいと思っています。
6月には神戸で、7月には都内でのチャリティコンサートに出演いたします。会場にお集まりくださる方々のお気持ちを被災地の皆さんにお届けできるよう、心を込めて演奏したいと思っております。

2011年5月11日
山形由美
 
※チャリティコンサートの詳細はこちら≫
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