山形由美 オフィシャルサイト

記録的な猛暑も、このところだいぶ和らいできたようですが、
こちら那須では、空の雲に、そして空気の中に秋の気配が感じられます。
暑い暑いとあれほど文句を言っていたのに、
夏の終わりには不思議と寂しさを感じてしまうものですね。

この夏はひとつお別れがありました。
俳優の渡辺文雄さんがお亡くなりになったのです。
渡辺さんとは連想ゲームの大先輩として、そして一時期参加していた東京俳句倶楽部のお仲間としてお付き合いさせていただいておりました。
びっくりするほど豊富な話題と、ゆったりとした、それでいてエネルギーに満ちた風情で、いつもまわりの人たちを引っ張っていらっしゃいました。
自分は吹けないから吹いて欲しいと言って、オカリナをくださったり、コンサートやアフターコンサートパーティにも足を運んでくださったりと、楽しい思い出は尽きません。
そしてその人間性に強い印象を受けたのは、NHKの、京都の大覚寺を訪ね名月を観るという番組でご一緒したときでした。歴史、文化への深い知識を持ちながら、なおも好奇心に満ち、人々との交わりを悠々と楽しんでいらっしゃる姿はとてもステキでした。


十五夜を待たずに逝きし踏緒かな　　吹風

※立秋の日に営まれた告別に際して詠んだ句です。
　踏緒（とうちょ）は渡辺さんの、吹風（すいふう）は私の俳号です。


さて、秋の訪れと共に、いよいよ音楽のハイシーズンがやって来ます。
私もエンジン全開で進まなければ！
この秋は、かなりバラエティに富んだ活動になりそうです。
まず福岡、新潟でのふたつのガラコンサートに出演します。
新潟での会場はなんと水上ステージ。草刈民代さんのバレエや山口小夜子さんのパフォーマンス、林英哲さんの太鼓演奏などと前後しながら私も演奏する予定ですが、とても幻想的な風景になりそうで、楽しみにしています。
そしてヴェネツィア室内合奏団来日公演での共演、プラハでのターリヒ室内オーケストラとの共演など、外国オーケストラとの演奏も続きます。それぞれがお得意とするヴィヴァルディ、モーツァルトをご一緒できるとあって、ワクワクしてしまいます。
もうすぐ、友の会ユミットクラブの十周年記念イベントも開かれるので、準備も佳境に入っています。次回のフロムユミでは、是非その模様をお伝えできればと思っていますので、楽しみになさっていて下さいね。
それでは皆さん、夏の疲れを吹き飛ばして、清々しい秋の日を過ごしていきましょう。